📝 ビジネス編
今回はビジネス編・第3回です。
1. 指示待ちの傾向とその背景
ベトナムでは、職場で「指示待ち」という文化が根強く存在します。これは、具体的な指示をもらってから行動を開始するという傾向のことを指し、日本とは異なる職場環境を形成しています。この指示待ちの背景には、ベトナムの歴史的な社会構造と教育制度が大きく影響していると考えられます。具体的には、従来社会主義国家であったベトナムでは、個々人の自主性よりも集団的な統制と調整が重視されてきた経緯があります。その影響で、自ら考えて行動するよりも、上からの指示に従う働き方が一般的になってきたのです。

2. 教育・育成スタイルの影響
また、ベトナムの教育制度も指示待ち文化の形成に寄与しています。ベトナムの学校教育は伝統的に、教師が一方的に知識を教え、生徒はそれを受け身に学ぶというスタイルが主流です。この教育スタイルは、自主性や問題解決能力を育むよりも、与えられた情報を正確に理解し記憶する能力を重視しています。そのため、社会に出てからも教えられた通りに行動し、指示を待つ傾向が強まると言えるでしょう。

3. 責任回避と失敗への恐れ
指示待ち文化の背後には、責任回避の傾向も見られます。ベトナムの職場では、失敗をした際の責任が個人に大きくのしかかることが多く、その結果、自ら決定を下すことに対する恐れが生まれています。指示待ちであれば、失敗した際でも「上司の指示に従っただけ」という理由で自分の責任を軽減できるという考え方が広く共有されているのです。

4. 上司との関係性と依存構造
さらに、ベトナムの職場では上司と部下の関係性が強固であり、上司への依存度が高いという特徴もあります。ベトナムでは、敬意を持って接するべき存在とされる上司に対して、部下は自分の意見を言いにくい文化があります。そのため、自ら考えて行動するよりも、上司の意向を確認し、指示を待つことが安全とされています。

5. 自主性を引き出す工夫と実例
ベトナム人スタッフの自主性を引き出すためには、上記の文化理解を基にした対策が必要です。日本人上司としては、指示を出すだけでなく、部下に対して自分で考え行動する機会を増やすことが重要です。具体的には、目標設定や問題解決のプロセスを共有し、その中で自分たちで考えて行動する練習を重ねることで、自主性を育てることができます。例えば、一部の日本企業では、ベトナム人スタッフに小さなプロジェクトのリーダーを任せるなど、責任ある仕事を任せて自主性を引き出す取り組みを行っています。これらの努力を通じて、指示待ち文化を超えた新たな職場環境を創出することが可能になるでしょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
このベトナム文化理解講座は、ベトナム在住の日本人が知っておいたら良い情報を、ライフ編・ビジネス編・エンタメ編に分けてご紹介しています。
少しでも知識が増えれば幸いです。それでは次回をお楽しみに。
※使用している写真はイメージです。本文とは直接関係ありません。







