📝 ビジネス編
今回はビジネス編・第10回です。
1. ベトナムにおける残業の頻度と職場の雰囲気
ベトナムでは、日本と比較して残業が頻繁に行われる傾向があります。労働文化として「働き続けること=労働規範」の傾向が強く、日本で言う「サービス残業」に近い形で働くことが一般的です。また、職場の雰囲気も「仲間意識」や「団体行動」が強く、一人が残業を始めると、他のメンバーもそれに倣う傾向があります。しかし、これは無理な労働を強いる習慣ではなく、共に頑張る仲間意識の表れと捉えることができます。日本では個々が役割と責任を持って働く風土がありますが、ベトナムではチームで一つの目標に向かって働く風土が強いため、このような傾向が生まれます。

2. 残業への抵抗感と理由
ベトナム人は、基本的には残業に対する抵抗感が少ないように見えます。その理由は、一部には生活費の問題もあると考えられますが、大部分は文化的背景、特に「一緒に働く仲間」に対する忠誠心や義理からきています。また、上記でも触れたように職場での「団体行動」の精神が強いため、一人が残業すると、他の人も順に残業するような流れができやすいのです。しかし、これは日本のように「仕事を終えるまで帰れない」という強制的な意味合いではなく、むしろ自発的な行動と捉えるべきです。

3. 残業代の扱いと制度の違い
ベトナムの労働法では、残業代についてはきちんと定められています。一定の時間以上働いた場合は、それに応じた加算が行われるとされています。しかし、現実的には、企業の中には法令を遵守しない場所も存在します。また、比較的低賃金であり生活費を稼ぐためにはある程度の残業が必要となる職場もあります。一方、日本では残業代未払い問題が社会問題化していますが、法律で定められており、それが遵守されることが原則となっています。

4. 上司の指示と残業の関係性
ベトナムでは、上司の指示に耳を傾け、それに従うことが強く求められます。上司が残業を指示すれば、それに従うのが普通とされています。しかし、これは単に命令に従うというだけではなく、自らの成長やスキルアップのために上司の指示を積極的に受け入れるという観点が強いです。日本と比較すると、ベトナムの上司と部下の関係はより親密で、上司はある意味で部下の成長をサポートする役割を果たしています。

5. 残業回避の工夫と文化的背景
ベトナムでは、労働者自身が自分の仕事のやり方を工夫し、効率的に働くことで残業を減らす取り組みが見られます。これは労働者自身が時間を有効に使い、自分の生活と仕事のバランスを取るための工夫と言えます。日本と比較すると、ベトナムでは仕事とプライベートの境界が曖昧で、その境界を自分で調整するという文化があります。したがって、プライベートの時間を大切にしつつ、効率的に仕事を進めることで、残業を避ける工夫がなされています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
このベトナム文化理解講座は、ベトナム在住の日本人が知っておいたら良い情報を、ライフ編・ビジネス編・エンタメ編に分けてご紹介しています。
少しでも知識が増えれば幸いです。それでは次回をお楽しみに。
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