内モンゴルの牧畜業者ドルジ氏は、かつて自由に放牧していた草原を見つめ、現在の状況に苦々しさを感じている。この草原は、中国の大規模な緑化プロジェクトの一環として放牧が禁止されている。伝統的な放牧に対する制限は、中国の「大緑の壁」キャンペーンの重要な要素であり、これは数十年にわたる砂漠化防止の取り組みである。このキャンペーンは、9000万ヘクタール以上の緑化を達成しており、環境保護の観点からは重要な成果とされている。しかし、放牧制限は地元の牧畜業者にとって生計に大きな影響を及ぼしており、彼らの伝統的な生活様式が脅かされている。ドルジ氏のような牧畜業者は、草原の保護と経済的な生計の両立に苦しんでいる。環境保護と地域の経済活動のバランスを取ることが、今後の課題となっている。
【参考情報】
※1 中国：「中国」とは、東アジアに位置する国で、世界で最も人口が多く、長い歴史と豊かな文化を持つ国家である。また、経済的にも急成長を遂げており、国際的な影響力を持つ重要な国の一つである。
※2 大緑の壁：「大緑の壁」とは、主に環境保護や生態系の維持を目的とした広大な緑地帯や植生の帯を指し、特に砂漠化防止や生物多様性の保護に寄与するプロジェクトとして知られている。アフリカのサヘル地域では、砂漠の拡大を食い止めるための「大緑の壁」プロジェクトが進行中である。
※3 内モンゴル：内モンゴル（ないモンゴル）は、中華人民共和国の北部に位置する自治区で、モンゴル民族を含む多様な民族が居住している地域である。内モンゴル自治区は、広大な草原や砂漠、山脈を有し、経済的には牧畜や鉱業が重要な産業となっている。
※4 ドルジ：「ドルジ」とは、モンゴル語で「兄弟」を意味する言葉で、特に親しい友人や仲間を指す際にも用いられる。日本では、元横綱の朝青龍ことドルジ・ナサルバトルに関連して広く知られている。
※5 9000万ヘクタール：「9000万ヘクタール」とは、特定の地域や国の面積を示す単位であり、約90,000平方キロメートルに相当する。この広大な面積は、農業、森林、または保護地域など、さまざまな用途に関連して言及されることが多い。
